カステラの匂いをさせて濡れる家

歯科助手の襟にはりつく夜霧かな

くしゃくしゃと噂話をする草木

青白い夜の書斎でくるみ割る

あいまいな句点を打って終わる秋

 

数万のムックが萌ゆる紅葉山

どこまでもメランコリーにさせる赤

許されてみたくて梨を剥いている

ぐるぐると一番星の白い声

絶望が深夜バスからこぼれ出す

足首を掴まれている三日月夜

 

縞のない蛇を見ました万華鏡

白餡を口にふくんで月をみる

饒舌な男と過ごす秋の夜

星月夜シェークスピアはもういない

黄金のイチョウ並木を踏む巨人

美しい輪郭を持つ巨人の目

蜻蛉には蜻蛉の事情、飛べ、飛んだ

中華街夕日の赤が見え隠れ

十五夜に透明うさぎを追いかけろ

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