なつやすみの友との絶交

よいこのみんなは絶対にまねをしてはいけないが、私は「なつやすみの友」と友達になったことは、今までの人生で一度もない。
小学校から高校までの12年間、長期の休み(夏休みや冬休みなど)の宿題を完璧にやり遂げたためしがないのだ。
完璧どころか、ドリルを一問も解かずに提出したこともある。
まっさらなドリルを捲っているときの担任教師の驚愕の表情を、今でも忘れられない。

普段の学校生活では、私は「正しい生徒」であった。
宿題はきちんとやっていくし、教室内が騒がしかったら注意を促す役目だったし、そのせいか、 一時期、男子から「三代目」北条政子とあだ名をつけられたこともある。
(ちなみに、「二代目」は当時の私の親友であった。)
とりわけ、ノートまとめが得意で、しばしば模範ノートとして、教師に採り上げられていた。
そんな生徒であった私が、どういうわけか、長期の休みとなると、一気に「怠け者の性分」が花開くのだった。
しかも、元来小心者であるくせに、こういうときだけ妙に開き直ってしまい、 鉛筆の跡が1mgもない問題集を提出したりするものだから、心配した教師に職員室に呼び出され、 何か悩み事でもあるのかと問われるのも無理はない。

今思うと、なぜそこまで宿題をやることができなかったのかわからない。
宿題をせずに何をしていたのかもわからない。
私は今もむかしも、それほどアウトドア志向ではないので、友達とどこかへ遊び歩いたという記憶もない。
ただただ、テレビを観て、うたた寝をして、ごはんを食べて、お風呂に入って、テレビを観て、布団に入って、 の繰り返しだったのだろう。
ラジオ体操に行ったことも、一度もない。
始業式前日、図画工作は両親にやってもらい、自由研究は買ってきた本を丸写ししていた。
そして、ドリルは真っ白け。
「なつやすみの友」とは、永遠に絶交状態なのだ。

そんな過去の私は、結社誌への歌稿や題詠マラソンを欠かさずに投稿している現在の私をどう思うだろう。
「そんなの私じゃあない」と訝しがるだろうか。
それとも、「えらいねぇ」と褒めてくれるだろうか。
いや、きっと、「ごめん、悪いけど、この英語の筆記体ドリル、代わりにやってくんない?」と言ってくるに違いない。

2006年9月6日

past >>

2006年09月


© Umi Sato All Rights Reserved.