vol.01 (2004年11月)

先日、加藤苑三さんのサイト『スイート★ホリック』にて、我が短歌人生初の『いちごつみ』チャットを経験してきました。

※いちごつみとは…
前の人の短歌から一語取って、次の短歌にその言葉を詠み込み、リレーしていくというもの。
参加者は、作歌の順番でいうと、私→しんくわさん→苑三さんの3名。
観戦しておしゃべりをしてくれた方は、田丸まひるちゃんと紅茶ちゃん。
以下に、いちごつみの記録を載せます。
23:00から日付けが変わって1:30までの2時間半で、7巡(計21首)になりました。





なんてことないんだすべてはなんてことないんだってば涙の五月
/羽美


川底の鮒の吐息に負かされる逃げ足の遅い五月の田螺
/しんくわ


食紅で真っ赤に染めた棘を摘み傷つけあおうか負かされあおうか
/苑三


野いちごを摘みすぎているあの人はきっとおうちに帰ってしまう
/羽美


君がなぜ憂鬱なのかを知らなくて野いちご潰す朝の食卓
/しんくわ


こんなにも眩しい 瞳をほそめてはあなたをすり潰していく朝
/苑三


スキップをしようしなさい僕たちは眩しい日々に慣れてしまった
/羽美


悲しみを背負って僕は屋上に登って二時間スキップをした
/しんくわ


陽があたる家庭科室に降り積る悲しみらしきものそのほころび
/苑三


もうすこし生きたらいつか骨折をするのだ家庭科室の水道
/羽美


冬の日の廊下の先の水道の蛇口の鈍き朝の光よ
/しんくわ


お互いの蛇口をもいで痕跡を見せあうふたり ほら、穴がある
/苑三


風邪の日は穴ぼこだらけの県道をやはりひとりで歩いて帰れ
/羽美


ビリヤード場店主と彼の飼う犬が寄り添い歩く雨の街角
/しんくわ


こんにちは。おでこに犬と書く刑を執行するためやってきました。
/苑三


素晴らしくまるいおでこねおやそれはカタツムリだね這っているのは
/羽美


僕たちのおでこに光を当てるため神様はちょっと倉庫にいきます
/しんくわ


にんげんはちょっとひどいがふたつづつ箱につめるとすてきにみえる
/苑三


真四角の箱にキリンを押し込めて誕生会には間に合わせます
/羽美


箱詰めの僕らが遠い港へと運ばれてゆく夢をみました
/しんくわ


いつだって泣いたらいいしいつだって夢をみないで眠ればいいわ
/苑三





率直な感想としては、もうとにかく楽しかったです。
自作のクオリティーの話となるとややドギマギしてしまいますが、何がそんなに楽しかったかというと、チャットならではの語らい。
私は最初、チャットでの作歌とは「いかに早く詠めるか」の訓練のようなものだと認識して臨んだのです。
なので、自分の番になったときは、「あぁ、おふたりが待っている。早くひねり出さねば」と焦ってしまい、 けれどそう思うと余計に何も浮かんでこなくて、変な汗が出るほどでした。
2巡目あたりはその最高潮で、かなりうろたえていました。

しかし、私は知りました。いちごつみの醍醐味を。
それは作歌そのものというだけでなく、その場が作り出してくれる語らいの輪なのだと。
私のようにオフラインで短歌を語る機会のほとんどない者にとっては、チャットでの歌会は新鮮で、 なんだかとても実感のあるものに感じられたのです。
短歌から離れたお話もみんなでわいわいできて、楽しかったです。
ありがとう、インターネット社会。
自分の短歌の反省点としては、すべて「話し口調」に逃げてしまったところ。
もしまた参加させていただけるのなら、その点に気をつけよう。

いちごつみ
記録





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