024:ミニ

[17748]なかはられいこさん

ミニストップのレシートいちまい手の中でじんわり湿る(しあわせだった)

「(しあわせだった)」この結句にすべては集約していきます。
過去形で表していることは、今は「しあわせ」ではない、ということ。
深夜のコンビニに通うような日常。孤独感。
作中主体の背景を勝手に想像してしまいます。
「じんわり湿る」ほど、レシートを手の中に握っているのも、どこか物悲しいことのように感じてきます。
結句のつぶやきは、コンビニの蛍光灯の明かりのように、夜気の中に寒々しく浮かんでいるのかもしれません。

 

[5824]五十嵐きよみさん

ミニチュアの東京タワーに火を放て街が夕陽に倦むそのまえに

「ミニチュアの東京タワーに火を放」つとき、人は実際の東京タワーに、そして街に、 火を放っている気持ちになるのではないでしょうか。
作中主体をその行為に駆り立てている感情は、「倦む」という単語から感じ取られます。
「夕陽」の赤に染まってしまう(受動)前に、自分の手で街を炎の赤に染める(能動)願望。
現実では恐ろしい想像図になるけれど、東京タワーが夕陽を背に、ごうごうと赤く燃える姿は、とても美しい映像だろうと思います。

 

[3956]桐嶋清雅さん

可愛いと思われて生きていくがいい ミニチュアローズの花束を買う

この言葉は自分自身へ向けてのものなのでしょう。
自嘲的なつぶやきです。
「可愛いミニチュアローズの花束」を選んで買う姿からは、一種の決意のようなものさえ感じられます。
ローズではなく、ミニチュアローズ。
その小さく可愛らしく、しかし本物の薔薇ではないその花に、自らを投影しているのです。

 

[6260]高岡シュウさん

さぁ君を迎えに行こう オレンジのミニ・クーパーに花束積んで

一首としての完成度で考えれば弱いかなという気もするのですが、爽やかな情景が、ドラマのはじまりのシーンのようで好きです。
「オレンジのミニ・クーパー」、「花束」…とても素敵な小道具たち。
花の種類は、色は、リボンは?今日はふたりの記念日?
これから会えるのだと微笑んでいる、それぞれの表情まで思い浮かんできます。

 

[6655]我妻俊樹さん

呪われた地区です違反駐車には毛が生えますとミニ・パトカーが

この一首も、情景を想像して思わず引っ張ってきてしまった歌。
路上駐車が多い繁華街で、パトカーからこんな声が流れたら、さぞみんな慌てふためいて車を移動するだろうなぁ。
実際にぼうぼうと毛が生えてきたら、あぁ、面白いだろうなぁ。
現代の「不思議の国」に迷い込んだような感覚。

<<                                      >>

001    011
002    012
003    013
004    014
005    015
006    016
007    017
008    018
009    019
010    020

021    031
022    032
023    033
024    034
025    035
026    036
027    037
028    038
029    039
030    040

041    051
042    052
043    053
044    054
045    055
046    056
047    057
048    058
049    059
050    060

061    071
062    072
063    073
064    074
065    075
066    076
067    077
068    078
069    079
070    080

081    091
082    092
083    093
084    094
085    095
086    096
087    097
088    098
089    099
090    100

back


© Umi Sato All Rights Reserved.