025:怪談

[22854]良子さん

日にやけた文庫で読んだ怪談はばらばらほどけていきそうだった

物は年月を重ねると妖怪になる。
この「日にやけた文庫」も、もしかしたらもうすでに妖怪なのかもしれません。
「ばらばらほどけて」いくのは、薄茶けた本のページだけではなく、そこに描かれた妖怪たちも。
「飛び出る」のではなく、「ばらばら」という表現がよかったと思います。
本の世界から、ばらばらと現実世界にこぼれ落ちてくる感覚がとても怖いです。

 

[11400]村上きわみさん

げんげんと咳き込みながら読み返す怪談の古い井戸のくだりを

咳き込みながら話される怪談話は、なんて怖い。
作中主体が読み返しているのでしょうが、私は怪談を聞いている立場で詠みました。
「げんげん」という擬音がいかにも、江戸っ子っぽい怪談噺家のおじいさんを思わせて、雰囲気を作っています。
しかも、「古い井戸のくだりを」わざわざ「読み返す」だなんて。
怪談話特有の効果音やら照明やらを思い起こし、咳ひとつにびくびくしてしまいます。

 

[8769]水須ゆき子さん

町立図書館より(1)
『学校の怪談』全十巻を抱えて裸足男帰りぬ

怖い…これはじんわり怖い。
裸足の「少年」ではないのだ。(少年ならまだ微笑ましく読める)
「裸足男」、この名前だけでまるで妖怪のようだ。
その男が『学校の怪談』を借りていく。しかも全十巻。
かなりの分量・厚さだろう。それを両手で抱えて歩くのだから、すれ違うだけでも怖くてたまらない。
静かな夕間暮れの図書館に響く、ペタ、ペタ…という裸足の足音。
怖いです。

 

[651]花笠海月さん

くちびるをすばやくなめて怪談を語り始めるをんながこはい

ああ、怖いです。
この「をんな」は怪談話をするとき、多分化け猫の目をしているのです。
怪談話がやけに好きで、語るのも得意だという人はいるもので、彼女もそんなひとりなのでしょう。
「くちびるをすばやくなめて」の描写がそのことをよく物語っていて巧いです。
文語体も一首の世界によく合っていると思います。

 

[603]しんくわさん

行灯油を舐めて踊ってその挙句小泉八雲の怪談読む猫

怖い…というより、可愛らしいと思ってしまいました、化け猫を。
「舐めて踊ってその挙句」のリズムが楽しい。
怪談に登場するような化け猫ではなく、童話の「長靴をはいた猫」のようなユーモラスなキャラクターを想像します。

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