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[19069]加藤苑三さん

たい焼きを半分に割るそのことを彼女はかわいそうだというのだ!

語尾の「!」が何だか愛らしいです。
「かわいそう」と「彼女」に言われたときの、作中主体の驚きと呆れ返った表情が目に浮かぶようです。
そういう女性にかぎって、「半分に割るくらいなら、こうして頭から食べてしまったほうが たい焼きにとってはいいのよ」と言って、がぶりとかじりつくのだわ!

 

[12211]ハルさん

正確に半分に割れないでいて大きい方をいつもくれる人

その人の人生そのものを象徴しているかのような一首。
慈悲深く、不器用で、少しだけ内省的で、優しく温かな人なのだと思います。
本当は「正確に半分に」したいのだけれど、なかなかうまくいかない。
しかし、他者に与えるときは「大きい方」をあげる。
作中主体は、この人をどこか冷静に見つめつつも、確かに愛しているのだと感じました。

 

[7486]杉山理紀さん

半身を預けてしまうそれからは時間が低い賛美歌になる

時間の比喩として「賛美歌」、その独自性に心惹かれます。
低い音で流れる賛美歌の荘厳さ。
ステンドグラスを透けて届く光のきらびやかさ。
「半身を預けてしまう」ことは相手への信頼を表しているのでしょうか。
しかし私は、そこに「もう後戻りはできないのだ」という切迫感もまた、 賛美歌の重低音の中に感じ取ったのです。

 

[3012] 春畑茜さん

半島は菜の花ざかりボンネットバスにひとりの時間を揺られ

一枚の写真かポスターを見ている気持ちになります。
ひとり旅を詠ったものでしょうか。
「半島」「菜の花」「ボンネットバス」といった言葉が、ノスタルジックな舞台を演出していて、春の日差しの心地よさを感じます。
「揺られ」が、穏やかに流れているだろう「ひとりの時間」だけでなく、 作中主体を乗せているボンネットバスの振動、風にそよぐ菜の花にもかかっているように思われました

 

[9898]水須ゆき子さん

この春も白木蓮は無口なり半分傾ぎながら散りゆく

こちらは同じく春の花である、木蓮が主人公。
私は個人的に木蓮の花が好きなのですが、この一首は木蓮の持つ美しさとはかなさを見事に表現していると思います。
ただ、第3句以降、言葉が丁寧に紡がれていく分、初句がするっと通り過ぎてしまうような印象を受けました。

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