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[24855]山崎沙織さん

ビーズ玉連ねた糸の真ん中を切った最後の最後まで好き

「最後の最後まで好き」という感情の吐露と、その前の状況説明の部分とに、分かれていると読みました。
そうであれば、間に一字空けをしてもいいように思います。
ハサミで糸を切ってしまえば、ビーズ玉は方々に飛び散り、元に戻すのは困難になります。
「ビーズ玉連ねた糸」というのは、作中主体の現在の恋愛を象徴しているもの。
「最後まで好き」と想いはいまだに強いけれど、その「最後」がもうすでに訪れつつあることを、 本人もきっとわかっているのです。

 

[19289]魚柳志野さん

連星を見つけようって走り出すビスケットをポケットにきみは

青春性あふれる、さわやかな恋愛の歌だと捉えました。
「連星を見つけよう」という誘いの、なんてロマンチックなこと。
恋人である「きみ」の少年らしさを表しています。
ただ、下句が字足らず・字余りになっており、上句の疾走感を失速させてしまっているように思います。
語句を並び替え、リズムを整理することができるのではないでしょうか。

 

[8371]こはくさん

そよ風の中ハンプティ・ダンプティ手を取り連なりそのままたまご

『不思議の国のアリス』の挿絵に描かれているパンプティ・ダンプティが、何人も横一列になって並んでいる様子を想像しました。
その奇妙さは、まさにアリスが入り込んでしまった世界そのもの。
結句「そのままたまご」という終わり方は軽快なユーモアがあり、楽しい一首になっています。
ハンプティ・ダンプティたちは、塀の上で「そよ風」に体を揺らしながら、 この歌を唱え続けているのかもしれません。

 

[4714]南野耕平さん

振り向くと僕のうしろにやわらかく連なっている今日までの僕

読み終わった後、「本当にそうだったらいいな」と願った一首。
後ろを振り向くと、そこには「やわらかく連なっている」過去の自分(自分たち)がいる。
その表現に、なにか救われるような思いがしました。
どんな過去でも、その「やわらかさ」は変わらないのです。
肯定されている感覚、不変に対する安心感。
安心感は、歌のまとまりのよさからも感じていると思います。
「今日までの僕」とひねった言い方も、一首に奥行きを与えています。

 

[7539]村田まゆ子さん

タラタラと音はこぼれていつの間に連弾をする散りゆくさくら

こぼれている音というのは、桜の花が散っていく音でしょうか。
「タラタラ」は通常、水のような液体が垂れるときの擬態語であるため、結句まで読み進めたとき、桜の房から滝や泉を連想させます。
散っていく花びらは水しぶきのように。
ただ、「連弾をする」と「散りゆく」が重なって、イメージが拡散している気がします。
ここはひとつに絞った方が、鮮やかになると思います。

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