041:血

[22744]兵庫ユカさん

血溜まりのようだカセットテープからテープが溢れ出して広がる

とても不安な気持ちになる情景です。
そこにはなぜかテープが溢れ出しているカセットテープと、それを見下ろしている自分しか存在しておらず、 まるで時間さえも滞っている空間にいるような感覚になりました。
「血溜まりのよう」な黒くて細いテープのぐるぐるとした固まり。
それこそが、読み手に不安感を与え、同時に圧倒的な存在感を感じさせるものになっています。

 

[20324]加藤苑三さん

道端で歌う人らは血で唄うようで私は少しさみしい

「道端で歌う人ら」というのは、ストリートミュージシャンのことを指しているのでしょうか。
そう言えば私も、彼らが歌っている前を通るとき、「少しさみしい」気持ちになるなぁと思い起こしていました。
その理由は、「血で唄うようで」
そうか、なるほど。
どんなストリートミュージシャンでも、どんな曲を歌っていても、私が彼らからどこか切なさや 「さみしさ」を受け取ってしまうのは、それ(=血で唄う)が理由だったのかもしれない。
背景は様々でも、「道端で歌う」ことを選択した人たちには、何かしら共通した「血」が流れているのだと思います。

 

[18521]なかはられいこさん

鰯の血ブロッコリーの血わたしの血みんなまじって食卓は海

血に、「鰯」と「ブロッコリー」と「わたし」を同列に持ってくるとは。
その発想力が素晴らしいです。
「鰯」の形状や漢字から受ける印象が、「鰯の血」の匂いまでも生々しく感じさせます。
さらに、「鰯」と「わたし(=人間)」だけでなく、「ブロッコリー」からも血が流れている。
単なるモノではなくなったブロッコリー…
その血は一体、何色なのでしょう。
これらの血が「みんなまじって」海のように滴っている食卓の上。
イメージがとてつもない迫力で迫ってきます。

 

[16007]鳴井有葉さん

血管の中を巡ってゆくビーズ そこには☆のスパンコールも

恋に落ちた瞬間を詠っている歌だと捉えました。
体中の血管を、色とりどりのビーズの波が巡っていく感覚。
その波の中に見つけた「☆のスパンコール」は、恋する喜びを表してるようで、瑞々しい少女性を感じます。
「星」ではなく、「☆」と記号を用いたのは、適した選択だと思います。
ビジュアルな効果となって、実際に☆が「血管の中を巡ってゆく」様子が目に浮かびます。

 

[10893]山下好美さん

聴診器みたいにくちびる押し当てれば血流の音伝はつてくる

初句の比喩が効いていて、そっと唇を(どこに?)押し当てる様子、仕草やちょっとドキドキしている気持ちをうまく表現しています。
聴診器が体に当たる、ひやりとした感覚まで思い起こされます。
ただ、リズムはもっと改善できるところがあると思います。
血流の音を感じるためには、静かにゆっくりと触れ合っていなくてはならないはず。
伝わってくる音は、はたして君の?それとも私の?

<<                                      >>

001    011
002    012
003    013
004    014
005    015
006    016
007    017
008    018
009    019
010    020

021    031
022    032
023    033
024    034
025    035
026    036
027    037
028    038
029    039
030    040

041    051
042    052
043    053
044    054
045    055
046    056
047    057
048    058
049    059
050    060

061    071
062    072
063    073
064    074
065    075
066    076
067    077
068    078
069    079
070    080

081    091
082    092
083    093
084    094
085    095
086    096
087    097
088    098
089    099
090    100

back


© Umi Sato All Rights Reserved.