065:水色

[14633]多喜エリさん

水色の範囲内には収まっているはず君に吐いた嘘、嘘

最後、念を押すように繰り返された「嘘」に、作中主体の「君」に対する気持ちが滲み出てくるようです。
「水色の範囲内」に収まっているのは、嘘が主語なのでしょうか。(真っ赤な嘘ではなく、水色の嘘?)
それとも、「君」との関係性なのかもしれません。
決して青色にはなれずに、境界線自体が水のように流動的な色が「水色」なのだと思います。
その範囲からはみ出たとき、作中主体の「君」に対する想いはどう変わってしまうのか、気になります。

 

[16114]しんくわさん

トレードマークの水色のシャツはいいのだが 「市長 縄跳びしないで下さい」

しんくわさんの市長シリーズ。
次のお題「066:鋼」でも市長が登場します。
この縄跳びの歌で面白いのは、明記されていないけれど、市長が縄跳びをしているのはきっと 「市長室」だと、読者に想像させるからだと思います。
市役所の中で最も重要とも言える部屋で、革張りのソファなんかが置いてある絨毯の上で、暇さえあれば縄跳びをしている市長。
ドアを開けて、もしその現場を目撃してしまったら、この歌と同じことを市長に諭してしまうでしょう。
そういう市長は「水色のシャツ」がトレードマークなのだ、という妙な確信めいたものが生まれてくるのが不思議です。

 

[14633]多喜エリさん

水色の範囲内には収まっているはず君に吐いた嘘、嘘

[13039]篠田美也さん

水色の嘘は吐くたび風化して肩甲骨の窪みにたまる

「水色」から「嘘」を連想した歌、二首。
たとえば犯罪の容疑であれば、黒と白、そしてそのどちらでもない灰色とがありますが、 嘘には水色というイメージがなんだかとても合っているように思います。


[14633]
この一首で言えば、その色にも濃淡があるようです。
濃い青色の嘘、水色の嘘、透明に近い嘘、でしょうか。
「水色の範囲内」は、優しい嘘に分類されているということか。
嘘に優しさの度合いがあるかどうかはわかりませんが、嘘を一切つかずに人と接していくことはできません。
結句「嘘、嘘」というつぶやきは、嘘をついているときの口調を感じさせるのと同時に、 「君に吐いた嘘」がひとつだけではないことを表しているようです。


[13039]
ここで言う風化した嘘とは、嘘をついたという自覚が薄れていくことを示しているのでしょう。
その嘘が、「肩甲骨の窪みにたまる」
普段、自分の目で見ることのできない部位にたまっていく、忘れた嘘の数々。
誰か愛しい人の、肩甲骨のひそやかな窪みを、指の腹でそっと触ってみたくなりました。

 

[11009]みうらしんじさん

水色の宇宙人からきょうもまたぼくに読めないメールが届く

こちらはファンタジックな一首。
「水色の宇宙人」はどこか生々しい。
その宇宙人から、なぜかメールが毎日届くという。
しかも読解できないメール。一体どうして?
「宇宙人」というのは、「ぼく」が恋している相手なのかもしれませんね。
個性的で「ぼく」を振り回してばかりで、それなのに引きつけられてやまないような可愛い人。
そう考えると、一首全体の雰囲気がガラリと変わり、青春のほろ苦さと甘さ両方を感じさせます。

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