blue bird 03

きらきら輝く少年は、どんな顔をしていたのだろう。
記憶はもうおぼろげで、そして私は「今を生きる」ので精一杯だ。


「理宇子、五限目休講だってよ」
チカがとってつけたような笑顔で言った。
彼女は黒い服が似合う。
黒をうまく着こなせるようになったら、大人の女性だ。
これはただの持論だけど、いつだったか本人にそう言ったら、なんだか困った顔をしていた。
私だったら、うれしいのに。
五限目は案外楽しみにしている、比較文化論の講義だった。
仕方がないので、私たちはチカのアパートでお茶をすることにした。
学食はいつも混んでいて嫌いだ。
アパートまでの道に、イチョウ並木のゆるい坂道があり、私はそこがとても気に入っている。
このことはチカには内緒だ。
本当に気に入っているときは、人にそのことは言わないものだ。
並木道を歩く。歩く。私は小さな声で歌をうたう。

落日がイチョウ並木の隙間からこぼれるけれど立ち止まらない


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