blue bird 05

「ゼミ生、何人来ると思う?」
アイスコーヒーのペットボトルを開けながら、チカが私に聞いてきた。
私は、自分が大学三年生になっていたことを思い出す。
そして明日は、ゼミに新二年生がやってくるのだった。
なんだか実感が沸かない。
私はいつも、時間の感覚が世界とずれている気がする。
チカの質問に「んー」と喉だけで返事をして、ソファの背もたれに寄りかかった。


いつのまに私は大学生になり、いつのまにたくさんの時間を忘れていったのだろう。
「感謝ちゃん」と呼ばれていた甘やかな季節は、はるかかなたで揺らめいている。
ふかふかの絨毯の上を歩くと、きっとこんな感じなのだろう、と思うような足取りで、私は生きているのかもしれない。


ふいにチカの携帯電話の着信音が鳴った。
射す光のように鋭い音だった。

愛嬌がすべてに勝る日はあってラジオ体操第二をさぼる


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