blue bird 07

びっくりした。ほんとうにびっくりした。
太陽くんが「生きていた」なんて!
これは誇張した言い方だけれど、それくらい、太陽くんは私にとって、記憶の中だけの人だったのだ。
ふしぎの国の輝く少年が、現実世界に帰ってきた。


今期第二回目のゼミが終わった後、西野くんが声をかけてきた。
「斉藤さんさ、岸直史(なおふみ)って奴、知ってる?」
私は、知らない外国語で話しかけられたような顔をしていたと思う。
「サークルの後輩なんだけどさ、うちのゼミに入ったんだ。で、 斉藤さんと知り合いかもしれないって言ってさ」
見ると、西野くんの後ろに、背の高い男の人が立っている。
顔を数秒見つめたけれど、やっぱり誰か全然わからない。
その「後輩くん」が一歩、私に近づいて言った。
「あの、幼稚園の頃、よく遊んだんですけど。家が近所だった…わかります? えっと、間違いだったかな」
後輩くんは、少し首を傾げて、ふっと口元をゆるめた。
そのときはまだ、私は気づいていなかった。

目を開けろ 不思議の国の少年がスキップをして近づいてくる


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