blue bird 08

今、目の前にいる、小柄な女の人が「彼女」なのか。
僕はまだ確信していない。
色の白い、やせっぽっちのその人は、困ったような恥ずかしそうな顔で、小さくうなっている。


日本語学ゼミに入ることにしたのは、担当教官の講義が面白かったというのもあるし、 サークルで親しくしている先輩がいるという理由も、大きくはないけどあった。
今日の授業の終わりに配られた、ゼミ生名簿。
そこに書かれていたひとりの名前に、僕は少なからずショックを受けた。
「斉藤理宇子」
感謝ちゃんと同じ名前。本当に、まさか、彼女なのか。
しかし感謝ちゃん以外に、僕は今まで「さいとうりうこ」という人に会ったことがない。
感謝ちゃんに再会したいというより、真実を確かめたい気持ちのほうが強かった。
もし本当に、感謝ちゃんだったら。
僕はとても面白い人生を歩んでいることになる。

迷路だと気づかなかった僕はただ交互に足を出していただけ


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