blue bird 10

「太陽くん」
薄いオレンジ色のシャツの裾を両手できゅっと握りしめながら、彼女は僕を呼んだ。
小さな頃の感謝ちゃんも、こんなに肌の色が白かっただろうか。
肩まで伸びた茶色い髪が、ふわふわと揺れている。
「さいとうりうこ」が、本当に感謝ちゃんだったことに、僕は内心とても驚き、 まるでキリストか仏陀の奇跡にでくわしたような気持ちでいた。


西野さんが、知り合いなのかと聞いてきたり、彼女の友達らしい人が僕らの顔を交互に きょろきょろ見ていたりしたけれど、僕と彼女は適当にごまかして、その場を離れることにした。
幼い頃の友達だ、なんて、なんだかくすぐったかったから。
多分、感謝ちゃんもそうだったのだと思う。
振り向いた彼女は、少し頬を紅潮させて、ひらひらと手を振った。


記憶の中にいた感謝ちゃんと、少しずつ少しずつ重ね合わせてみる。
まだ、おぼろげなままの輪郭を撫でていくように。
ふわふわと柔らかそうな茶色い髪。

スキップをしているような歩き方彼女はきっとマシュマロだろう


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