blue bird 16

いつの間にか、僕らは手を繋いでいた。
どちらからかはわからないけれど、僕も感謝ちゃんも、とても穏やかな気持ちでいた。
感謝ちゃんの横顔をそっと見る。
口を薄く開けながら、夜空に散る花火を見上げている。
低めの鼻に小さな皺を寄せて、興奮している様子が伝わってきた。
そのあまりに真剣な表情に、僕は少し笑い出しそうになる。


幼い頃にいっしょに見た花火は、途中で中断されてしまった。
感謝ちゃんが帰ると言い出したから。
浴衣にリンゴ飴の汁をこぼしてしまったと泣いていた。
たくさんの蝶々の絵柄がついた、群青色の浴衣。
さっき感謝ちゃんに話したら、
「その浴衣、とってもとってもお気に入りだったの」
と、シャツの裾を引っ張りながら、にこにこしていた。
「今日は浴衣じゃないんだね」と僕が言うと、
「でも蝶々柄はいまでも好き」と答えた。
噛み合わない会話が愛おしく、そのとき、僕らはもう手を繋いでいた。

蝶々はきらめく甘い粒々になってしまった 舐めてしまった


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