blue bird 17

私には、修(おさむ)くんという恋人がいる。
修くんは、少しだけ猫背で、読書が好きな、優しく穏やかな男の人だ。
「理宇子は眼鏡の似合う男に弱い」
チカの言うとおりである。
私と付き合いだしてから替えた、茶色い縁の眼鏡を私は気に入っている。 そのことを修くんには話していない。
読書をしているときの修くんの横顔を見ているのが好きだ。
眼鏡の縁ごしに見える、下向きのまつげ。
絶対に見ていることに気づかない修くんが、とても好きだ。


彼は心理学を専攻していて、いつだったか、私がフロイトとユングが同一人物だと思っていたと話したら、
「今までで一番、理宇子のことが愛しく思えるよ」
と、くつくつ笑いながら頭を撫でられた。
馬鹿にされているのだと腹が立ったけれど、そのときの修くんの笑顔があんまり柔らかだったので、 私はそのまま気持ちよく頭を撫でられていた。まるで猫になった心地で。
修くんの手は少しだけふっくらとしていて、なんとなく本の匂いがする。

春うらら苺のパフェを半分こしているような恋愛だった


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