blue bird 19

修くんは優しい。
私はいつも、彼の優しさに甘えているような、もっと言えば、それにつけこんでいるような気持ちになってしまう。


ケンカをしたのは一回きり。
私が夜に電話で「会いたい」と、何度も何度も言ったときのこと。
その頃、修くんは大学の卒業論文につきっきりで、私たちは何週間も会えない状態が続いていた。
電話口で修くんはいきなり黙り込んでしまった。
いくら甘えた声を出しても、泣きそうな声ですがっても、彼は何も言ってくれなかった。
でも優しい修くんは、次の日の朝に、部屋にやってきてくれた。
私は寝起きのぼやけた顔のまま、彼にしがみついてわんわん泣いた。
修くんは、いつもより強く私を抱きしめてくれた。


それから、私は修くんにフレンチトーストを作ってあげた。
唯一、彼が上手だと褒めてくれた料理。
黄色くて甘すぎるそれを、その朝、私も彼もいっぱい食べた。

ハチミツをべたべた塗った手をつなぎふたりで並木道を歩こう


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