blue bird 22

こんなに間近で、感謝ちゃんの顔を見たことはない。
小さな鼻と、そこに浮かぶ薄いソバカスを、指の腹で優しく撫でた。
感謝ちゃんはくすぐったそうに、ぎゅっと目を瞑った。


雲の切れ間からふいに午後の光が射した。
彼女はうれしそうに空を見上げる。
しばらくふたりで、雲に囲われた水色の空を見ていると、感謝ちゃんは急に、鼻に小さな皺を寄せて言う。
「好きだとはまだ言わないから。ちゃんと彼と別れてから、言う」
とても真剣な声だった。
僕は瞬間、双葉と美樹のことを思い出す。
随分と過去の恋愛を思い出すように。
そして、同時に、感謝ちゃんの恋人に嫉妬している。
僕はこんなに薄情な人間だったのだろうかと苦笑していると、感謝ちゃんが心配そうにのぞき込んでいた。
茶色い髪が柔らかそうに風に揺れる。
帰ったら、暖かいカフェオレを淹れてあげよう。
僕の右手には、少し冷たくなった小さな手が握られている。

僕らから遠のいてゆく膨大なテールランプの黄色や赤や


                                        >>

01  02  03
04  05  06
07  08  09
10  11  12
13  14  15
16  17  18
19  20  21
22  23  24
25  26  27
28  29  30


back


© Umi Sato All Rights Reserved.