blue bird 26

僕は、双葉の様子に驚いていた。
美樹も僕と同じような反応をしていたようだった。
双葉はやや上気した頬を震わせて、下唇を噛んでいる。
その目は冷たく、熱く、怒りに満ちていた。


僕の勝手な想定としては、それは美樹の役回りであった。
美樹は奔放で感情の起伏が激しく、双葉はその反動か、おとなしく内向的な性格をしていた。
別れ話をして泣いたり怒ったりするのは美樹で、双葉はそんな妹を慰めながら、 僕との別れをできるだけ冷静に受け止めようとするだろう。
それが僕の想像だった。
しかし、今、目の前で怒っている女の人は。
「私は、美樹だから、我慢してきたの。他の女と付き合うだなんて聞いていない。そんなのずるい。私は、美樹と」
そこまで言って、双葉は嗚咽した。
美樹は姉の肩を抱き、彼女も泣くのを必死にこらえているようだった。


僕は、僕は、もう何も言うことができなくなった。

胸元に苺のジャムを塗りつけて「全部わたしに返してください」


                                        >>

01  02  03
04  05  06
07  08  09
10  11  12
13  14  15
16  17  18
19  20  21
22  23  24
25  26  27
28  29  30


back


© Umi Sato All Rights Reserved.