blue bird 27

傘を差して、チカのアパートまでの道を歩いている。
イチョウ並木の坂道を、今日は歌をうたわずにいく。
透明のビニール傘に、水滴がいくつもいくつもぶつかって腹立たしい。
私は子どもの頃から、雨の日が嫌いだった。
できれば家に閉じこもっていたいのだけど、今日はチカに、太陽くんとのことを打ち明ける約束になっている。
今まで秘密にしていたことを、チカは怒るだろうか。


チカは、はじめのほうこそ拗ねて
「眼鏡をしていない男にも惚れるのね」
なんて意地悪な顔をして言うくらいで、あとは始終、目を輝かせて私の話に耳を傾けていた。
チカに話して聞かせながら、私は無性に太陽くんに会いたくなった。
太陽くんの顔を思い浮かべるだけで、喉がくんと鳴りそうになる。


帰りに本屋へ寄って、アップルパイの焼き方を探してみよう。
シナモンパウダーをたっぷりと振った、あたたかなアップルパイ。
そしてきっと、太陽くんはカフェオレを淹れてくれる。

雨の日に裸足で歩く欲求を持たずに生きて大人になった


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