blue bird 28

循環バスに乗り込んで、感謝ちゃんのアパートへと向かう。
幼い少女と少年が前の席に座っていた。
僕の知らない日本語の歌を、仲良くささめき合っていた。
いつかの日の「感謝ちゃんと太陽くん」を思い出す。


彼女が気に入っていた藤色のレインコート。
町内の大きな空き地を探検するときも着てきた。
汚れてもすぐにふき取れるよう、ウェットティッシュをポッケに入れて。
藤色のレインコートを着た探検隊長は腕を大きく振って進む。
でもせっかくの雨の日には、感謝ちゃんはいつも不機嫌になっていた。
傘と長靴が同じ藤色でなかったから。
「全部同じ色じゃないと、意味がない」
それが雨の日の彼女の信念だった。


今日は朝から雨が降っている。
循環バスの窓にくっついた一枚の葉っぱが、いつまでも剥がれずに濡れている。
前の席のふたりが、声を合わせて「降りますボタン」を押した。

手の平に貼りついている約束を雨に透かしてドレミファソラシ


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