2008-2010

B5版ルーズリーフの罫線が草の匂いを放つ雨の日

書きかけの短歌のような一行が雨の余韻にくるまれており

廃村の公民館の下腹部がやがて野バラに埋もれし五月

透きとおるゼラチン状の呼び声を夜の野原に置き去りにする

ぽふぽふと漢字ドリルにひしめいた若草色の馬偏の文字

旧型の循環バスの胴体に念写のごとく青葉の翳る

しぼみゆくシロツメクサの王冠をバス運転手鮫島さんへ

胸元のネームプレート深々と鮫島(春)と彫り込まれおり

先週も鮫島さんの手袋がほしいほしいと楡がさわぎぬ

この先に草冠の町名があればそこから夏のはじまり

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